第五部

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第五部

   第五部[帰国]を書いている。 憑かれたように一気に書いていた。 二人が手を取り合ってバスで揺れながらマリソルの地を目指す。 そこに希望が待っているわけでは無くて、人から見れば自己満足の世界。 それでも行かずにはいられなかった。 引き裂かれそうなリッキーの胸の内。 それを叶えたいフェルの心。 始めは空港でリッキーが思いとどまる……短編になるだろうと。 けれど[ニトロ]と同じ。話が走り始めた。 南米を調べ、経路を調べ、麻薬、クーデター。 話が止まらず、フェルがコカインを打たれる場面でふと立ち止まった。  いいのかな フェルにこんな足枷を嵌めていいんだろうか でも、フェルは強くあってほしかった。 次に躓いて、今も躓いているところ。 帰って来て、さて、お友だちごっこにするのか。 コカインのこと、打明ける? なんども書いては『完』をつけた。そして削除し書き直し。 この経験は初めて。どう最後を持って行っても納得がいかない。 こうしたい というのがあるんだけど、そう書いていいものかどうか決心がつかない。 二人が黙っているので物語が止まっている。   
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