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12、幸せの贈り物
私は玄関の扉を開けて、曇った空を見上げた。今日は洗濯物を干せそうにない。
新聞を取りに行こうと一歩進む。足先に箱のようなものが当たり、足元を見た。
綺麗に包装されたそれは、両手で抱えなければならないほどの大きさであった。
新聞と共にリビングへ持っていき、包みを開ける。
パーティードレス、リボンのついた靴、小さな造花の髪飾り、一輪のバラ……
どれも赤黒い色をしている。いや、よく見るとバラは茶色に変色していた。そして、1枚のメッセージカードが目に付いた。
『Happy Birthday Rachel』
いなくなった娘の名前を目にした私は、まとわりつくような鉄の香りに嘔吐した。
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