4、冬の太陽に憧れて(前編)

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最初からあなたが嘘をついているのは知っていました。夜遅くにメールが来なくても、今日も家に帰ってこないことは知っているんです。だっていつもそうでしょう?気づくはずないなんて思っているのでしょう?私がいつまでも子供だからって甘く見ないで。 それでも私があなたを選ぶのは、嘘ではなく愛を教えてくれると信じているからです。 「お帰りなさい」と声をかけると、あなたは私を抱き締め「ただいま」と言います。それだけでは私は満たされないのです。誰にでもするハグなんて私は求めてないの。薬指にあるはずのモノはコートのポケットの中。あなたが嘘をつくから私は騙されてあげることにします。 今日もまたあなたの嘘が私の中に降り積もります。
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