第1章

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高山にある秘境の温泉の周辺に、山岳救助隊の警察官が群がっている。 そのうちの1人が部下に声を掛けた。 「如何だ、確認とれたか?」 「年末に単独冬山登山に出かけた、新宿在住の日比野洋一さん62歳ですね」 「大晦日の天候悪化で遭難しながらも此処にたどり着き、寒さを凌ごうと温泉に浸かり、そのまま溺死してしまうとは運の無い人だ」 「そうかも知れませんが、顔が穏やかです。 此処から見える日の出を見ながら亡くなったのではないでしょうか?」 「そうかも知れんな。 さて、仏さんをご家族の下にお連れしよう」 「はい」
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