第一話・壊れた女

39/39
2070人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
  「そうくんっ・・・・あ、ああっ――・・・・」  ただ、乱れた。  背徳感――それさえも快感になった。  壮くんの与えてくれる快楽に、私は溺れてしまった。  亜貴くんとは違う、こんなセックスがあるって知らなかった。  壮くんに身体を貫かれて、感じて、狂って、壊れた。  壮くんは、ゆっちゃんが好きだ、もう離さないから、絶対に泣かせたりしないから、ってずっと愛を囁いてくれた。  その言葉、出来るなら、亜貴くんの口から聞きたかった。  私が愛した男は、簡単に女が喜ぶ台詞はあまり口にしなかったから、殆ど聞くことはできなかったのよ。 ――俺と協力して、裏切り者を潰さない?  ええ。そうしましょう。  こんなに私を何年も苦しめた上に、裏切るなんて、亜貴くんの事、絶対に赦せない。  中学の頃から好きで、好きで、想いが叶って、結婚まで出来て嬉しくて、一生、私を愛してくれる男は、亜貴くん、貴方だけだって信じていたのに。  後にも先にも、抱いて欲しいのは、貴方だけだったのに。  他の男がくれる愛を受け入れてしまって、更にその男がくれる、愛しく、激しいセックスを知ってしまった私は、もう二度と、貴方の帰りをただ待つだけの、無能な淋しい姫には戻れない。  とうとう、壊れた女になってしまった。  貴方が、私を愛してくれないから。  だから亜貴くん。貴方とは、もう、さよならするわ。  それで、何もかも終わったら、壮くん、私達も一緒に堕ちましょう。 ――地獄へ  
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!