(ΦωΦ)(ΦωΦ)7─カイサル戦記─

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その手に握られているのは“ブルータスの短剣”。オトリ作戦成功だ。 「ブルータス……またお前か……」 カエサルが断末魔の声をもらした。 怨霊よ永久に滅せよ。 そう思ったのも束の間、 「フハハハハ、同じ手が通用すると思ってか!」 カエサルが拳を振り払った。吹き飛ばされるカイザー。オレもニャンパラリンと引き下がる。 「なぜ、なぜ短剣が効かないのニャ?」 「こんなこともあろうかと、知る人ぞ知る吉田藩御用達菓子“絹与(きぬよ)羊羹(ようかん)”をサラシに巻いておいたのよ!」 カエサルが高笑いして答えた。 「なんて用意周到ニャんだ……大丈夫かカイザー?」 「ああ、すまない相棒。大したことないワン」 言葉とは裏腹に、カイザーの前足には血が滲んでいた。 「その怪我で戦うのは無理ニャ」 「大丈夫マイフレンド、私が行かなければ……」 「カイザー、なぜそこまで命を懸ける?」 「ノブレスオブリージュ──高貴なる者の義務。だがそれよりも私は、掛け替えのない人の笑顔を守りたいのだワン」 「カイザー、お前ってやつは……」 どうやらオレは誤解していたらしい。コイツも命を懸けるに値する大事なものを守る戦士なのだ。
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