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オレの名は(ΦωΦ)(ΦωΦ)7。
読み方はダブルニャーセブンだ。
腹の色と同じく漆黒の猫だが、裏では世界平和を守るエージェントとして活躍している。
ゆえに、アクシデントとは蜜月の恋人のような関係。ハエ取り紙に誘われる双翅目昆虫のごとく、あちらからトラブルが大挙して寄ってくるのだニャ。
それがやって来たのは、アーロンチェアに腰かけイングリッシュティーに舌鼓をうちながらアフタヌーンティースタンドのケーキをつまんで読書をしていたときだった(すべて嘘です)。
「ヌコリン、何を読んでるプギ?」
タラちゃんの謎の足音を響かせて、ピンク色の仔豚が駆けてきた。五丁目で飼われているチャーコだ。
「古代ローマのユリウス・カエサルが書いた『カエサル戦記』だニャ。チャーコの飼い主のカイさんに頼まれて、カエサル暗号を解いたのさ」
オレはわざと余裕シャクシャクな表情で答えた。もちろんシニカルな笑みで牙を光らせて。
「プギ、かえさるあんごー?」チャーコの目が土偶のように一本線になる。「よくわかんないけど、マンゴープリンっぽいやつ?」
「いや、マンゴーじゃニャくてカエサル暗号。なんでも2000年前に書かれた『カエサル戦記』の原本を、運良くメルカリで落札したとかで頼まれたのニャ」
「それでカエサルマンゴーを?」
「(諦め)その原本にはカエサル暗号で、秘密の宝物が隠されているという伝説があるニャ。その暗号を読み取るには、各文字をアルファベットの順で3つ前の文字──」
「おやつプギ」
「説明はいらないのかニャ」
素知らぬ顔でオチリを向けたチャーコに、あゝ無情とばかりにオレは淋しくつぶやいた。
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