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「ヌコリン」スチャとチャーコが振り向く。「今日は何の日か知ってる?」
「2月14日……?」オレはシッポを?の形にした。「ふんどしの日か、はたまた煮干しの日かニャ」
「ブブーッ、ハズレなのら」
「みなまで言うな、バレンタインデーだニャ。今年も蕎麦入りチョコを食べる恒例の日ではニャいか」
「あいかわらず、お蕎麦が好きね」
「たまに帰る家の飼い主が好きなので、それで好みが伝染したのかもニャ」
「そうじゃなくて2月14日は……ってヌコリン、野良ヌコじゃないのきゃ!?」
チャーコの鼻がビビッとわなないた。
「まあ、腐れ縁か。その飼い主が締め切りのせいで胃が痛くて、蕎麦湯を点滴静脈注射して生き永らえているニャ」
「可哀想な人間だね、ご飯が食べられないなんて」
チャーコが憐れみで尻尾をクルリンした。
そのとき──
「ご飯が食べられなければ、ケーキを食べればいいじゃないか!」
いきなり現れたヤツが傲岸に言い放った。
(な、なにヤツ? お髭レーダーに気配を感じなかったぞ!?)
オレは咄嗟に身がまえた。尻尾もビンビン臨戦態勢。
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