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雨は止む気配がなかった。
辛うじて僕がこの冷たい雨を凌げるのは、僕が捨てられているのを発見した人間の子供たちから、傘をもらったからだ。でも、僕はその傘が雨を弾く音が嫌いだった。
車が通りすぎる音がする。
僕はその音に期待しないことにしていた。
期待して鳴いたところで、彼らは僕の声をそっぽ向いた音でかき消して、どこかに行ってしまうからだ。
そして、雨は僕をより一層孤独にさせた。
雨のせいで、誰も僕のところにやってこなくなる。晴れていれば、子供たちは僕のところに嬉しそうな顔をしてやってくるのに……。雨は僕にとっては大きな邪魔になる。
子供たちは唯一の頼みの綱なんだ。
彼らは僕が頑張って鳴いてつかんだ希望なんだ。
お母さんに会えるかもしれないんだ。
だから、僕は雨が止むのを心から願った。
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