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仲間なんて要らない。
単独で結構だ。
通常部隊(GF)は斑規模で動く。大して、S001が所属する特殊部隊(SF)は少数で動くこともあるが、単独行動も認められている。
自分の同期たちはほとんどが斑を組んでいるが、自分は全て断ってきた。
事実、自分の戦績は近くに仲間がいる方が落ちる。他人に合わせる戦い方が根本的に合わないのだ。
チームワークというものが自分には欠如している。
自覚はしているが治す気はない。短所だと余所からは見られるが、これが自分の長所でもあると思っている。
すべて自分で処理できる。
それは立派なことだろう。
だから仲間なんざむしろ不必要。
自分の死亡率を上げることに繋がるからだ。
◇
SF-S001は軍に数人しかいない大将の1人に呼び出された。
情が移るからなのか、覚える必要がないからなのか、ここで名前を呼び合うことはない。歩兵に然り、大将に然り。
呼ぶものが識別番号しかないのでそれで呼び合うが、大体は渾名をつけられそれで呼ばれることがほとんどだ。
その大将は、大将の中で一番若年という理由から、『若大将』と呼ばれている。
S001はその若大将の執務室のドアを叩いた。
「はーい、開いてるよ」
中から声が返ってきた。
緊張感も威厳もない、若い声だった。
S001はドアを開けた。
若大将は執務机に座り、笑みをたたえたままこちらを見据えていた。
彼の手には洒落たティーカップが握られている。
「……お呼びでしょうか」
若大将の前まで歩き、形式上の敬礼をする。
若大将の名の通り、目の前の男は随分と若い。もしかしたら自分と大差はないかもしれない。それどころか、下手したら年下という可能性もある。
「そんな堅い挨拶はやめて、リラックスリラックス」
気さくな話し方だった。
にこりと微笑む口元はこちらを警戒させないためなのか。
だとしたら逆効果だ。こんな薄っぺらそうな奴の命令なんざ聞きたくない。
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