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ホネの身体は昔とは違う。(もちろん自分も。ジムに行っているのに腹の肉がぷよぷよしてきたからランニングを始めたのだ)しかし、そこかしこに、ささやかな記憶がふりつもっている。
出会った夜、日付が変わった瞬間皆が口々に「ハピーニューイヤー!!」「新年あけましておめでとう!」と叫び、クラッカーが鳴らされた。
DJが音楽を変え乾杯がまきおこった。
とうとうカウンターに登ってしまったホネはなぜか上半身裸になり、奇声を上げてフロアにダイブした。
壮志郎は何も考えず、まぶしいものに少しでも触れたくて手をひろげた。ホネは壮志郎の腕の中には来なかった。知らない男のもとへ舞い降りた。ただ壮志郎が手を広げたその時、目が合った。ホネは、手近にあったマシュマロをつかむと、それを壮志郎の唇に押し当てた。ニヤッと笑った。ホネは当時つきあっていた男の目を盗んで、そんなことをしてきたのだ。
その時完全に恋に落ちた。周囲が見えなくなるほど、ホネ本人をしっかり見つめることができないほど、過ぎてゆく年月が気にならないほど。
思い出は、色あせることなく骨と皮になってもたぶん唇はマシュマロだし、キスすればすぐに蘇る。
恋が終わっても大丈夫。ホネの身体に、自分の身体に、すべてがふうじこめられている。
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