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「お前さあ、ぜんぶ俺に言えばいいと思うのいいかげんやめて?」
ホネはセックスのあとに、苦言を呈した。
「だいたいお前、老けたってことをそんな風に喜々として言われて、俺がどんな気持ちになるかわかる?」
「ごめん、でも好きだからさあ。俺、魔法とけたとして、ホネがもっとヨボヨボになって、それこそ骨と皮だけになっても勃起するってわかった」
「……の割に俺、お前の勃起みたの超久しぶりなんですけど」
「最近落ちこんでたね」
「……なんもないところで転んだんだ。ランニングはじめて体力ついたって喜んでたら、ほんっとなんにもないところで。さすがに意味わかんなくて嫌になった。年はとりたくない」
ホネは顔をしかめた。その顔が妙にセクシーだと思った。
「いまさらだけど心配になってきた。ホネ、保護者や同僚から口説かれない?」
「園児からはままあるけど……お前がバカで俺は救われてるよ」
「……ホネって俺のこと好きなんだね。俺がホネの『ラブチャンス』じゃん、はは」
「『ラブチャンスゲット』」
二人ピストルの形をしてバン!と撃ちあい、笑った。
ランニングのコースを変えよう。「ラブチャンス」に連絡先をきかれたことは黙っておく。すべてを話すことが相手に誠実であることにはならない。例え二人が骨と皮になってもキスはマシュマロで、二人の間を行ったり来たりする。
end
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