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彼女たちは会話を続けながら扉を開けた。
間抜けな表情をした俺がいるはずだ。
呆然と突っ立っている俺を一目見た彼女たちは、笑い出した。
「え、うそ、うふふ」
「ほんとに来たぁ、すごぉい」
「きゃははは。あ、ごめんね、感じ悪いね」
「いや、あれなのよ。ほら、佐野君いつもイケメン二人に囲まれているでしょう?……だから、女の子に不足してないだろうって話になってね」
「それで、賭けたのよ。あなたが来るかどうか」
そうやって律儀にも説明をしてくれる彼女たち。
あぁ、何だ、俺はただ単に踊らされただけか。
……全く、いい道化だな。
そうやって心の中では必死に強がってみても、現実の俺は軽口の一つも言えない。
声が出せないほどに笑い転げている女子高生という名の悪魔たちを目の前にして、俺は一人震えるばかりだ。
……誰か、この状況をどうにかしてくれ。
半分泣きそうになりながら、心の中で二人の味方の顔を強く強く描いたとき、大きな音がして、悪魔たちの後ろにある旧音楽室の扉が開かれた。
いつの間にか下を向いて唇を噛み締めていた俺は、その扉の開かれる音に顔を上げた。
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