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その様子を感じたのか、舌を動かしながら、翔琉は閉じていた瞼を開く。
そこから現れた漆黒の瞳は激しい炎を宿らせながら俺を射抜く。
それがあまりに激しくて、それがあまりにも鋭くて、俺の身体の奥が熱くなった。
いやらしい水の音が誰もいない空き教室に響く。
それがとても恥ずかしくて、俺の瞳には水滴が溜まる。
滲んだ視界の中でも、翔琉の瞳だけはしっかりと見えた。
そんな俺の様子に何かを思ったのか、ようやく翔琉は唇を離した。
俺の唇と翔琉の唇が離れるときに、透明な唾液が糸を引く。
また、身体の奥が熱くなって、俺は慌ててその様子から視線をはずす。
それでも、荒くなった自分の呼吸の音が辺りに響くから、いたたまれなくて、逃げたくなった。
翔琉が、にやっと笑って俺に顔を近づけると、いつの間にか頬を伝っていた涙をなめとった。
そしてそのまま翔琉の舌は俺の横顔をなぞる。
俺は背中がぞくぞくして、まるで俺が俺じゃない感覚に眩暈がしそうだった。
翔琉の舌は俺の頬を何度も上下し、目尻を越えて、そして俺の耳に到達する。
耳の外側をひとなめ。
そして、次第に耳の内側へと熱い翔琉の舌が入って来る。
俺は思わず声を出してしまう。
まるで女のような声だった。
恥ずかしくて、怖くて、気持ちよくて。
それでも、自分じゃどうしようもないその快感が、俺はやっぱり怖かったから、震えて、泣いた。
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