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扉の開く音がした後、何か大きな音がして、俺の前にあった翔琉の気配が無くなった。
恐る恐る目を開くと、もう一つの見慣れた背中が目の前にあった。
俺の目の前にいるその人の肩は大きく揺れていた。
どうやら息が上がっているらしい。
その背中に向かって、俺は言う。
「……斗真……」
涙が流れた。
今度は安堵の涙だ。
俺のその声に斗真が振り返る。
優しいその表情に俺はほっと肩を下ろした。
振り向いた斗真の肩越しに、頬を押さえて床に座り込む翔琉が見えた。
多分、その様子から翔琉は斗真に殴られたのだろう。
斗真は翔琉のことなど全く気にすることなく、俺に近づいてくる。
いくら翔琉とは違うとは分かっていても、翔琉という信頼していた人に裏切られたばかりなのだ。
俺の身体は止めようとしても止まらない震えに支配されていた。
それでも、斗真はゆっくりと俺に近づいてくる。
まるで傷付いた捨て猫に餌をあげるみたいに。
斗真の手が俺の肩に触れる。
俺はびくっと肩を震わせる。
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