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朝、家を出ると幼馴染二人が待っている。
これが俺たちの小学校の頃から続く毎日だ。
何も変わらないと思っていた。
「おはよう」
そう言って優しく俺に微笑みかけてくるのは、加藤斗真。
柔らかな茶色の髪の毛は、一度も染めたことがなく、とても柔らかいことを幼馴染の俺は知っている。
色素の薄い斗真の瞳も、髪の毛と同じ色の明るい茶色だ。
肌は白く、まるでどこかの王子様のようだと、学校の女子たちは口を揃えて言う。
俺への挨拶を済ませると、斗真は空を仰ぎながら欠伸をする。
例え手で口を押えずに欠伸をしていても、斗真にはどこか上品さが漂っている。
きっとそういうところが王子様と呼ばれる所以なのだろう。
欠伸を終えて、そのまま空の一点を見つめている斗真には、全くそんなつもりはないのだろうが。
気だるげに丸められた背中や、今日のお昼ご飯のことしか考えていないであろうと思われるどこかぼんやりとしたその表情でさえも、王子様のような精巧な顔立ちの斗真がすれば、「アンニュイ」やら「物憂げ」だと思われるのだから、全くもって美形という生き物は得なのだと実感せずにはいられない。
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