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「何、あいつのこと好きな訳?航」
俺が斗真のことばかり見ていたからか、そう言って俺を見下ろすのはもう一人の幼馴染、田口翔琉だ。
翔琉はとにかく意地悪だ。
いつだって俺にはこの手の話しか振ってこない。
無論、からかわれているだけだと分かってはいても、俺はどうしたってこの手の話に赤面してしまう。
そもそも、赤面するなという方が困難を極めるのだ。
なぜなら翔琉もまた、美形といわれる部類の顔立ちをしているのだから。
腹立たしいことに。
ほぼ金色に近い茶色の髪の毛は、斗真とは違い染色したものだ。
その髪の毛を翔琉はいつも手を抜くことなく綺麗にセットしている。
また、翔琉の瞳は深くて真っ暗な漆黒の色をしていた。
そのアンバランスさがどうにも翔琉から目を離せない原因らしい。
翔琉の真っ黒な瞳に魅入られるんだと。
馬鹿馬鹿しいと口に出すことは簡単だが、実際、こう翔琉のその瞳に見つめられていると、息をすることさえも難しく感じるのだから、やりきれない。
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