本編

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そんなことを考えながら下駄箱を開ける。 ちなみに、高校は三年間同じクラスのため、俺たちは三人とも今年も同じクラスだ。 靴を履き変えようとしたところで、俺はあるものに気が付いてその動作をやめた。 「なんだこれ」 そんな俺に気付いたのか、翔琉が俺の頭越しに俺の手元を覗き込む。 息が後頭部にあたる。 それが意味する身長の違いに俺は打ちのめされる。 くそう、あと少し高ければ……。 そんなことより、今は手元にあるこれをどうにかしなければ。 俺の靴箱に入っていたのは一枚の紙だった。 紙とは言っても、それは白い封筒でピンクの小さなハートのシールで留められている。 これはきっと手紙の一種であり、俺が人生で初めて受け取った…… 「これは、ラブレターだね」 翔琉の反対側から同じように覗き込む斗真が言った。 俺はびっくりして肩をあげてしまった。 「なんでそんなにびっくりしてるんだよ」 そう言ってけたけたと笑い転げる翔琉が憎たらしい。 おまけに翔琉は続けてこんなことを言ったのだ。 「てか、こんなちんちくりんにラブレターを送る奴の気がしれないな」
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