執事のおしごと

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それなのに、最近の姫は俺の顔をみるだけで強張った表情をして固まり、しばし震えてからぎこちない笑顔をするようになった。 自慢ではないが、俺は艶やかな黒髪と瞳、鼻筋も通っていて、切れ長な二重の目。 以前辞めさせた侍女達によると、 「変態性とパワハラさえなければ完璧なイケメンなのに.なんて残念な男なの!」 と言われていたので、容姿には問題ないと思う。 そして、姫をお守りするために日々鍛錬をかかさないため、近衛騎士団長にも圧勝するほどの剣術、暴れ熊を素手で昏倒させるほどの柔術、鍛え上げた190㎝の肉体、どれをとっても完璧なはず。 最近の姫は、俺をゴキブリでも見るような嫌悪感を含んだ眼差しで見つめてくる。 言葉も最低限しかかわしてもらえず、年頃の娘をもった父親のような状態になってしまった。(寂しい) 愛らしい笑顔が見られないのは残念だが、俺をゴキブリのように見るときの姫の冷たい視線がたまらなくぞくぞくするので「ゴキブリもいいものだ」なんてポジティブに考えて気持ちを落ち着けている。
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