恋はタイミングじゃない

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「俺のどこかそんなに好きなの?」  予想外の君の返しに、僕は面食らう。きっと好奇心で聞いているのだろう。男に告白されたのは今日が初めてだろうし。  僕は唾を飲んで一呼吸おいてから、こう答えた。 「動きに無駄がないとことか」  きっかけはそんなものだった。 「とか」 「たまに鋭いことを言うとことか」 「とか」  先を促すように言葉尻を捕らえられ、僕は少しムッとした。でも、この際素直に言ってしまおうと思った。 「顔も好きだ」  実はこれが一番の理由かもしれない。顔が好みだったから、なんて軽薄で言いづらいが。 「やっと言った。俺の顔が好きなんだな」  満足したように君は笑った。まるで、まんざらでもなさそうに。  「おまえ、俺と話すときだけ耳たぶが赤くなってたよ。俺の顔を見てぽやっとなってた」  バレていたのか。僕の気持ちもお見通しだったのだろう。 「気持ち悪いって思わなかったのか。僕の態度」 「思わなかった。俺もおまえのことが気になってたから」  僕は息をのんで、君の顔を凝視した。とうてい信じられる言葉ではなかった。  君は僕の顔を見て呆れたように苦笑し、肩を竦めた。 「俺は言うつもりなかったんだ。おまえは地方の大学に進学するだろ?」     
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