冬と君

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「あのね」 「う、うん」 「いつも、寒いって言いながら諒くん家に行くと、手を温めるみたいに手を繋いでくれるのが嬉しくて・・・・・・冷たい手が諒くんの手でじんわり温かくなるのが好きだったの」 ――――なに、それ・・・・・・ ――――俺、夢見てんの? 「諒くん?」 「あ、いや、そっか・・・・・・ははははは」 乾いた笑い声を出しながら、俺はうろたえていた。 ただ、体温が上がったのだけは確実に自覚したけど。 「こたつに入っちゃたら、それがなくなっちゃう気がして、ごめんね。せっかく――――」 俺は彼女の手をぐいっと掴んだ。 そして優しく繋ぐ。 「諒くん?」 「だ、大丈夫。こうやって少し歩いて、どうしても寒くなったら今度こそ一緒にこたつに入ろう?」 「うん」 「俺も友香と手を繋ぐの、好きだから」 我ながらよく言えたと思う。 彼女を呼び捨てにできたことも含めて。
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