プロローグ

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 世の中には犬型の人と猫型の人がいる、と父が言った。  姉は犬型で私は猫型だと。  まだ10歳の私にはその意味がよく分からなかった。  ただ、分かっているのは私よりも2歳年上でおっとり型の姉は、穏やかで人懐こく誰からも可愛がられ、私は小さいくせに神経質で小生意気で可愛げが無いということだった。  見た目も姉は大きな目で色白の可愛らしい容姿だったし、私は細い目で目つきが悪いと言われていた。  それでも私は人に媚びを売るのが嫌いだった。  可愛いと頭を撫でられるのはいつも姉でも、微笑みかける視線は姉しか見ていなくても、私はそういうものだと思っていた。  姉は人懐こい犬で、私は人に媚びない猫。  ただ、そういうことなのだろうと理解した。
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