3.

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「とりあえずW大目指してるけど。卒業後はどっかに就職するか、選手引退したらコーチとか?」 「ま、お兄ちゃんなら実現出来るだろうけど。希空さんはどうするのかなー」  ドナーはまだ現れないのだろうか。そんなことを考えていると海奏が「あ! 夏休み皆でどこかに遊びに行こうよ!」と唐突に申し出た。 「皆って誰だよ」 「私とお兄ちゃんと希空さんと佐伯さん」  野島の“の”の字も出てこなかった。 「野島は?」  野島に友達ならいいと言ってしまった手前、とりあえず名前を出してみた。 「あ、そうか。野島さん、頑張ったんだもんね。いいよ、皆で行こうよ」 「問題はどこに行くかだな」  遠出は身体に負担がかかるだろうし、近場でも1日歩くようなところは無理だ。 「プールは? 去年出来たところ!」 「結城さん泳げないぞ」 「え? そうなんだ……じゃあ遊園地とか?」 「あんまり好きじゃないんじゃないかな」  その時、インターフォンが鳴った。 「来た! じゃあ後でどこがいいか聞いてみるよ」  スキップでもしそうな勢いの海奏を見ながら俺も玄関先へ。 「え……」  だが、ドアを開けた先にいたのは結城希空でも佐伯さんでもなく、見覚えのある運転手の男性だった。
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