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「とりあえずW大目指してるけど。卒業後はどっかに就職するか、選手引退したらコーチとか?」
「ま、お兄ちゃんなら実現出来るだろうけど。希空さんはどうするのかなー」
ドナーはまだ現れないのだろうか。そんなことを考えていると海奏が「あ! 夏休み皆でどこかに遊びに行こうよ!」と唐突に申し出た。
「皆って誰だよ」
「私とお兄ちゃんと希空さんと佐伯さん」
野島の“の”の字も出てこなかった。
「野島は?」
野島に友達ならいいと言ってしまった手前、とりあえず名前を出してみた。
「あ、そうか。野島さん、頑張ったんだもんね。いいよ、皆で行こうよ」
「問題はどこに行くかだな」
遠出は身体に負担がかかるだろうし、近場でも1日歩くようなところは無理だ。
「プールは? 去年出来たところ!」
「結城さん泳げないぞ」
「え? そうなんだ……じゃあ遊園地とか?」
「あんまり好きじゃないんじゃないかな」
その時、インターフォンが鳴った。
「来た! じゃあ後でどこがいいか聞いてみるよ」
スキップでもしそうな勢いの海奏を見ながら俺も玄関先へ。
「え……」
だが、ドアを開けた先にいたのは結城希空でも佐伯さんでもなく、見覚えのある運転手の男性だった。
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