4.

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 周囲はあんなにも色とりどりの色彩に彩られていたのに、彼女はその中で染まることのない白だった。  全てを拒絶する白。  少しでも違う色が混ざることを許さない、そんな白色だった。 「受付です、三浦さんをお連れしました」  ネームプレートには何も書かれていなかったが、その上には“特別室”と印字されていた。 「三浦さん、来てくれたんですね」  横開きのスライドドアを開けて出てきたのは佐伯さんだった。  いつもはスーツ姿だが、今はその上に白衣を纏っている。 「ああ。先にナースステーションに行って着替えてきてください。靴もスリッパに。それも消毒も」  そう言われて自分の姿を見ると、雨に濡れて汚れていた。  言われた通り着替えてくると再び病室を訪れた。 「着替えてきました」 「どうぞ。希空さん今は寝てますけど」  病室に入ると白いベッドに同化しそうな程に白い肌の結城希空が横たわっていた。 「今日は朝から調子が悪かったんです。でもどうしても海奏さんのところへ行くって聞かなくて……。結局、車で向かう途中で発作を起こしたので病院に連れてきました」  わかっていたはずだった。  彼女の心臓が爆弾を抱えていて、いつ発作を起こすかもわからない状態だということも。  死と隣り合わせで生きていることも――。     
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