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俺の言葉に2人は両手で大きく丸の文字を作った。
海奏を残していくのは少しばかり心配だったが、野島がいいやつなのはもう分かっているし、浜崎と愛も一緒だから大丈夫だろう。
「海奏!」
俺は1度背を向けたプールへ振り返った。
「なにー?」
海奏が大きな声で返してくる。
「気をつけて帰ってこいよ!」
「わかってるよー! 後でね、お兄ちゃん! (頑張って!)」
最後の言葉は口パクだった。やはり今日ここへ来たのは俺と結城希空を親密にする為に海奏が計画したものだと確信した。お節介で生意気だが、少しだけ海奏へ感謝した。海奏のおかげで彼女の本当の笑顔を見れたのだから。
俺は海奏に頷いて再び背を向けると、佐伯さんたちの元へ走った。
きっと帰ったら冷やかされるだろうな、と苦笑しながら――。
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