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「希空さんの心臓は日に日に弱ってきています。いつ爆発するかわからない爆弾を抱えているのと同じ。気持ちを伝えないまま爆発してしまったら……三浦さんは後悔する。それに希空さんも」  俺にはどちらも後悔するように思えて、黙っていると佐伯さんは「希空さんは今日あなたに気持ちを伝えたかったはずです。先程少しおふたりに時間を設けてみましたが言いませんでしたか?」と言った。  この人には何もかもお見通しなのかもしれない。 「……それらしいことは言われたかも知れません……」 「そうですか」 「あの、もしドナーが現れて移植をしたら普通に生活できるようになるんですか?」 「そこは個人差がありますが、数ヶ月もすれば普通には生活できます。適応すれば、ですが」  少し前に読んだ医学書にもそんなことが書いてあった。ドナーが見つかったからと言って手放しには喜べないのだ。拒絶反応が強ければ他のドナーが現れるのを再び待たなければならない。 「その移植手術も……希空さんには僅かの時間しか残されてません」 「……どういう意味ですか?」 「言ったでしょう? 希空さんの身体は日に日に弱っていると。移植手術そのものに耐えられなくなるんですよ」  口内に残るレモネードの味が途端に苦く感じた。 「そんな……」  その時、甲高い音で着信音が鳴った。 「失礼。病院からです」  そう言って佐伯さんは胸ポケットからPHSを取り出し「はい、佐伯です」と答えた。     
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