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うどんを食べている、その時、後輩が
「雪姉、足」
と呟いた。
「足が、どうしたの?」
「当たってるよ、俺に」
「わざと」
一瞬で後輩の……彼の顔がまた赤色に染まった。
うどんを食べ終えた彼が言う。
「雪姉」
「何?」
「今日はありがとう。美味しかったよ、鍋。来て良かった」
「ありがとう。こっちも、楽しかったよ、色んな話が出来て」
「それで……あの……雪姉は、また勝手に引っ越したり……しない……よな?」
「ん……またアンタが来てくれるなら、かな」
「それじゃあ」
彼は依然赤いままの顔をこちらに見せる。
「それじゃあ、また来るから」
そう言った彼は、またすぐに俯いてしまう。
「うん……楽しみにしてる。待ってるから」
彼はこたつから出る。彼はこたつの効果か、前より棘が無くなった……前からそこまで棘があった感じはしないが、それでもそんな気がする。
カバンを取った彼は玄関に向かう。それを見た私もこたつから出て、見送りに向かう。
「じゃあね」
「う、うん。また来るよ、雪姉」
マンションのドアを開けて、久しぶりに感じた冷たい風が私の体を撫ぜる。
「きっと来るって、信じてるから」
「うん。俺も、雪姉が勝手に引っ越さないって信じるよ」
「何よその言い方~」
「いいだろ、別に」
それから二人で小声で笑い合った。
「それじゃあね、雪姉」
「うん」
二人で手を振って、その後ドアを閉めた。
閉めたドアのレンズに、全てを見られたような、そんな気がした。
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