1. こたつ無しじゃ生きていけない。

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徐に部屋で夕飯の事を考え出す。 今日はさっきから言っているように死ぬ程寒いので、温かいものが食べたい。温かいものといっても、一概には言えず、シチュー、麺類とか、ピザや鉄板焼きなんかも温かい。 ……というか料理って大概あったかいんだな。 いやでも、こんな寒い日は鍋物が食べたい。ダシの効いたスープが、白菜のしなっとしたところに染み込んで、噛み締めると口の中がスープに溢れる……想像しただけで腹が減る。ああ白菜食いたい。 決めた。今日は白菜と豚挽肉のミルフィーユ煮込みにしよう。 ……いや待て。 鍋物を一人寂しくつつくっていうのも悲しい話だ。まあ、そんなことは承知で一人暮らしを始めた訳だが。でも、やっぱり心のどこかで寂しさが音を上げている。 ……。 携帯のアドレス帳からひとりの名前を見つける。 ピッ、ピッ、…… 『はい山井です』 「 やあやあ山井後輩。久しぶりであるな」 『あぁ……?ああ、(そそぐ)姉か……。何だよその口調……』 「何だよぉ~その態度~私たち仲良いでしょ~」 『急に媚びんな……で、久しぶりなのは認めるけど、用件は何?』 「今から私の家、来れる?」 『えぇ……いやだってうちもうすぐご飯なんだけど』 「だったら親に言ってよ。『籠原さん家に呼ばれました 』ってさ」 『うっ……』 「おやおや……?抵抗はもうおしまいかな?」 『……分かったっ!分かったからっ!行くよ行けばいいんだろっ!』 「そうそうそれでいいの。それじゃ、住所教えるから」 『え……?いや教えるも何も俺雪姉の家の住所知ってるよ?』 「あぁあぁ、言ってなかったっけか。私引っ越したんだよ」 『えぇ!?聞いてねぇよそんなこと!何で教えてくんなかったの?』 「私も家族も忙しいんだよ。それじゃ言うからメモってね~。えと……埼玉県……」 『ちょ、待ってよ……』 「OK?じゃ、30分以内に来ること。分かった?」 『さ、さんじゅっぷん!?無理でしょ!こっから快速でも最寄り駅まで25分はかかるんだよ?』 「男ならなんとかしなさいっ!」 『ウッソだろ……分かったよ!もう出る!』 「ほーい。じゃあ待ってるよん」 一通り会話が終わった。昔から可愛がっている一つ年下の中三の男の子だ。なぜこの子にしたのかと言えば、まあ私が友達が少ないからというのもあるが、それ以前にこの子と久し振りにいろんなことについて語りたいな……と思っていたのだ。 何を語るかは……分からない。
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