2. こたつは一人では使えない。

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こたつが届くまであと40分程。 そして、山井後輩が家に到着するのは30分後だ。もう確定事項だ。 それはさておき。30分で鍋をある程度完成しておかなくてはいけない。 幸い、家から徒歩数分の所にスーパーがあるので、仕送りの中にあった白菜以外の具材を買い足しに行く。 ……全然時間が無い。急がなくては。 急いで完全防寒服に着替え直し、財布をテキトーにポケットに突っ込んで、家を飛び出した。 やっぱり寒い。刺される感じ。今年はラニーニャ現象だとかなんとかで異常に冷え込むそうだ。そもそもラニーニャって何だよ。猫か。寒い原因起こしてる癖に自分はこたつで丸くなるのか。ずるいぞ、猫。 数分でスーパーに着いた。大体何がどこに売っているのかは把握しているので、豚挽肉のパック、マロニー、〆のうどんをパパッとカゴに放り込み、レジに放り投げた。弱冠16才にして自分の方が大人より偉いと思ってそうな女子高生に恐れをなしたのか、声を小さくして恐るべきスピードでレジを打ってくれた。助かる。 袋の中に品を無造作に入れ、右中指に引っ掛けてスーパーを出、道をダッシュした。 行きより早く帰ってきた。5分も経っていない。家の鍵をまた早業で開け、手を洗ってうがいをして早速キッチンに向かう。 昔から料理は得意だ。白菜を一口より少し大きいくらいに切り、小さめの鍋に一周目を敷き詰める。そして挽肉を出し、程よい厚さに重ねて敷き詰める。 それを二周、三周と繰り返し、ある程度の量になったら煮込み始める。 蓋をかけ、手を念入りに洗う。 料理時間で約10分といったところだろうか。ぐつぐつと鳴る鍋の上の蓋からは白い蒸気が出てき始めている。 ああ、本当にうまそう。 これをこたつの上で食べれるんだから人間ってやつは幸せである。 少しばかり散らかっていた部屋をパパッと片付け、テレビをつける。 『数年ぶりの大寒波到来!!』 という青がかったテロップに、厚着の女子アナが映っている。 最近は女子アナもお笑い芸人のような扱いを受けていて、幼い頃に志したであろう真面目なキャスター像がぼやけてしまっている気もするが……まあ、当人が幸せなら、具体的にはお金が貰えていればいいのだろうが。 いい感じに煮込めてきたので、一旦火を止めてこたつの上に置くガスコンロを引っ張り出してくる。 もうすぐ予定の時間だ。はてさて間に合うのだろうか。
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