2. こたつは一人では使えない。

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あと1分。それが彼、山井(やまい) 涼生(りょうせい)に残された時間だ。 私は家でのんびりと、じっくりと待っている。 ーーーやっぱり、ちょっと無理があったか。 そう思って、そろそろ到着するであろう配達員を迎える準備をする。後輩よりもこたつが楽しみなのだが、それは彼には内緒だ。 寒いが外へ様子を見に行ってみるか……。 と思っていた矢先。 『ピンポーーーン』 というチャイムがけたたましい音を響かせて耳に届いた。 驚いて反射的にドアを開ける。 「はぁ、はぁ、はぁーーー…………よ、よう、雪姉。ホント、久しぶりだな」 そこには件の後輩が肩を上下させてこちらを向いて立っていた。 「おお、ホントに来た。間に合ったんだ」 「自転車ギア全開にして漕いで来たから……はぁ……」 「ん……まあとりあえず上がりなよ。疲れてんでしょ?」 「……じゃあ。お邪魔します」 少し躊躇ったような気もしたが、まあ、気のせいか、照れてるのか。 後輩は部屋の方へと廊下を進んでいく。 「あれ?今雪姉一人?」 と、彼はこちらを振り返って問うた。 「ああ、言ってなかったっけ。私、今年から……あ、いや、年越したから去年からか。一人暮らし始めたんだよ」 「……え?」 目の前の後輩は鳩が豆鉄砲食らった様な顔をしている。 「どうしたの?一人暮らしって意味分かる?ニホンゴダイジョウブデスカ?」 「大丈夫だよ!……っていうか大丈夫だから驚いてるんじゃんか!一人暮らし?雪姉が?嘘だろ?聞いてない!」 「言ってないもん」 「なんで言わないんだよ!引っ越すとか一人暮らしするとか、別に言ってくれてもいいだろっ?」 「いやー……だって私もう高校生だし。プライバシーの観点から見て、ね?あんた男子中学生なんだから、現役女子高生の生活事情なんて教えられないよ」 「なんで自分からちょっとアヤシイ感じに言うんだよ……」 「ん?別に怪しいことは言ってないよ?頭の中でそんなこと考えてるのはどっちかなー?」 「う、うるさい!雪姉のそんな姿、想像したくもないよ!」 「そんなってどんな?」 「……負けました。すいません許してくださいなんでもしますから!」 「ん?いまなんでもすると言ったな?んー……それじゃあ……今日は一緒に語り合おう後輩よ。鍋でも食べてあったまりながら、ね?」 「え?鍋?語るって……何を?」 「うるさい。問答無用!それじゃあ……ちょっと待ってて」
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