2. こたつは一人では使えない。

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「おーい、運ぶの手伝ってー」 「はいはい。やりますよ。運んだら組み立てるの?」 「ん……簡易組み立て式のを買ったからすぐ終わると思うけど、そうだね」 「へー。そんなのあるんだ」 「うん。安かったし、これだ!って思ったんだ」 「へぇー」 狭い廊下を二人して運んでいく。 「にしても狭いな~この廊下」 「うーん……荷物が大きいから相対的にそう感じるんじゃないの?」 「そうか?家に比べたら狭いけどな……」 「そりゃあ、アンタの家はごく普通な一軒家でしょ?当たり前でしょ」 「まあ、そっか……」 下ろすよ、という後輩の声に合わせてリビングに箱を置く。 「ふぅ……いやー、届いたねぇ、私のこたつ」 「なんでそんなに感動してるの?」 「だってこたつだよ?久しぶりなんだもん。前から欲しかったし」 「ふーん。そんなもんかな」 「そんなもんだよ!」 箱をカッターで開き、中を二人同時に覗いた。 「おお、結構ちゃんとしてるな」 「そうだね……んじゃ早速組み立てますかね」 「おう……手伝おうか?」 「おっ、たまには男らしいことも言うようになったねぇ。成長したなぁ……でも、いいよ。自分で組み立てるのが楽しいからね」 「……そう」 「何ちょっと残念そうな顔してるの?もしかして私の隣で手伝いたかった?」 「し、してない!うるさい!黙れぇ!」 「ふふ、必死になってるね……そこまで言うなら手伝わせてあげるよ」 「俺は何も言ってない!前言も撤回するよ!」 「遠慮せずに。ほら、これ、出して」 「わかったよ……もう。よっこいしょっ……と」 いやいやなのか、はたまた照れ隠しなのか……まあとにかく、後輩は机の天板を出してくれる。 脚も二人で箱から出し、ドンッ、と床に置いた。 天板と脚には少し強力な磁石がついていて、ヒーターのついた脚の上に付属の布団をかけ、上から天板を置くと見事にくっつく仕組みになっているのだ。 確かに簡単だ。人気なだけある。 「おお~、出来た」 「ほんとに簡単なんだな」 「これを、テレビの前のセンタースペースに置いて、っと。よし!一応完成!」 「まあ、様にはなってるんじゃね?」 「そうだね。あとはコンセントに……あ、延長コードがキッチンにあるから持ってきてくれる?」 「ん」 後輩がキッチンに向かう。 「これか。雪姉、はい」 「よし!じゃあこれを、コンセントに……はい!完成!」 「すぐ終わったな」 「それじゃあ鍋持ってくるよ」 「うん」
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