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 唯を待っている間に理奈と犬養も呼び出した。どうせ、文化祭で全員集まるんだから高柳の家で合流したほうが効率がいいだろうと思ったんだ。  最初に到着したのは理奈だった。高柳の家に近いからな。その10分後ぐらいに唯と犬養が一緒に現れた。駅で偶然一緒になったらしい。理奈に鍵を開けてもらって部屋の中にはいると高柳はこたつに入ったまま横になって眠っていた。  こたつの上には缶ビールやカクテルの缶や瓶が無数に転がっていて、ツマミでも作ったんだろう皿が何枚も置かれていた。やっぱり寝ていやがったと思って起こそうと体をゆすろうとしたら背中に包丁が刺さっていたんだ。  どう見ても生きていなかった。わずかに体が暖かかったが、それが死んで間もないからなのかこたつで暖められたかは俺には分からなかった。  最初に悲鳴を上げたのは理奈だった。俺は驚きのあまりその場に座り込んでしまっていた。犬養が救急車と警察を呼ぼうと携帯を取り出したところで俺は思わず叫んでいた。 「警察は呼ぶな!」  全員が俺の方を見た。当然だろう。この状況で警察を呼ばない理由がないのだから。でも、俺は部屋の中を見回して気が付いてしまったんだ。玄関の鍵は確かに閉まっていた。部屋に唯一ある窓にも鍵がかかっていた。しかも、ご丁寧にストッパー付きの奴だ。鍵はずっと開閉されていなかったのだろう。ほこりも積もっていた。それに高柳が持っていたであろう部屋の鍵はこたつのテーブルの上に落ちていた。  つまり、この部屋は密室だったのさ。
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