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「嘘つかないで! 私は覚えているからね。最近あなたがやっているバイト。白アリ駆除の手伝いのバイトしてるんでしょ? バイト代が高いからって。古いアパートとかだとの床下収納をどかせれば外につながってるって知ってた? ってこの前言ってたじゃない」
「それは……」
「床下収納だって?」
俺は犬養に床下収納のBOXをどけさせて顔を覗きこんだ。確かに床下には人が這いつくばれるほどの隙間がありその先にある外につながる金網が外れていた。
「確かに外には出れるみたいですね」
犬養がつぶやく。つまり、犯人はこの抜け道を知って入れば犯行が可能だったというわけだった。となると、やはりこの2人のどちらかが犯人に違いない。
「犬養だって!」
突然唯が犬養に向き直って叫んだ。
「昨日、ゼミから劇薬持ち出していたでしょ」
「あれは、レポートに必要だからって頼まれたんだよ」
「あの薬は持ち出しは許可が必要でしょ!」
「許可はちゃんと取りましたよ。でも、危ないから取り扱いには充分に気を付けてくれるようには行ったし、研究ならゼミでやればいいって何度も言ったんですよ。でも高柳さんが聞かなかったんですよ」
確かに高柳は無茶を簡単に言って後輩である犬養を困らせていることがあった。
「いつも使いっぱしりにされて恨みが溜まってて劇薬を飲ませたんじゃないの?」
「いえ、でも死因は背中の包丁だと思いますよ」
「毒で殺した後に刺したのかもしれないじゃない!」
「ええ……」
困ったような顔をする犬養。部屋の中は混沌としはじめていた。唯と理奈が罵倒しあい、犬養はどうにかなだめようとしていたが2人の罵倒に巻き込まれてどうにもならなくなっていた。
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