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ようやく雪も根付いて、本格的なシーズンが始まった。
俺が配属されたのは、索道いわゆるリフト係だ。
山頂まで一気に上るゴンドラの他に、4人乗り、2人乗りの高速リフトが、斜面を縫うように並んでいる。
単調な作業でありながら、気は抜けない。
誰もが上手くリフトの乗降が出来るわけではないし、安全バーがあるとはいえ、危険な座り方をされたのでは意味がない。
常に目を光らせながら、笑顔を絶やさない。
「いってらっしゃーい」と見送り「足元気を付けてくださいねー」と迎える。
そんな中、シーズン頭から来ていた、それだけの理由でリーダーに任命され、バイトでありながら、社員同様の責任を背負う事になった。
スキー場でバイトをする奴等の目的なんてひとつだ。
滑りたい!
休日、ナイター、休憩時間、隙を見つけては滑りに行く。
当初は俺もそのつもりでいたのだか、なんとなく、そんな気分にならない。
理由ならわかってる。
プライベートまで、あいつと顔を会わせたくなかったのだ。
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