忘れられない夜

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再び指を絡めるように隙間なく握りしめ玄関へと急ぐ。さほど大きくない家だが庭が広く隣との塀が高い分、周りを気にすることがない。二人で住むには十分な広さだと思う。そして煙草を吸わない隼人に迷惑かけることのない愛煙家の祖父が作った家だけあってそこそこ快適な喫煙ルームがある。 多少本数は減ったが吸わない隼人に快適に過ごしてもらいたいと思っていた俺には有り難たいスペースだと思った。 広めの玄関とエントランスを珍しそうに見回してリビングに繋がるドアを開ける。娯楽用に作った家だけあってリビングは広い。隅にはバーカウンターまである。そこには有名どころのグラスが並んでいる。 テラスに繋がる扉を開けてやると気持ちの良い風は隼人の髪を揺らした。 「広い庭ですね。 犬がいたら喜びそう…」 「犬、買うか?」 そう聞けば俯きながら顔を曇らせた。 「…また…一緒に住むんですか」 それはどういう意味なのか顔色伺う。躊躇っているのはなんなのか。一つ一つ解決していかなければならないのは、もう二度と離したくないことだけではない。二度は同じ過ちを繰り返さないことなんだ。 「いやか?俺は隼人と一緒に、最期までいたいと思ってる。焦らないからゆっくり考えて」 ここで返事を聞くことはしない。いや、まだ隼人の口からは何も答えは聞きたくなかった。 家の中を散策して周りリビングに戻ると隼人はソファに腰を下ろしまた庭を眺めていた。隼人の好きなカフェオレを入れてやるとカップを両手に持ち嬉しそうに口に運んだ。 「煙草吸ってくるな」     
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