目覚めるとそこは、屋外階段の踊場だった

1/2
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

目覚めるとそこは、屋外階段の踊場だった

 私(アラサー女性らしい)はコスプレ姿の奇妙な青年に発見されて目を覚ますが記憶が無い。  青年は動画サイトのカリスマユーザー、蒼(SOU)。恋人でやはりファッションブロガー兼読者モデルの菫に「窓から飛び降りるドッキリ動画」を仕掛けられていたらしい。協力者の絽(カメラマン)と慌てて助けに来ると菫の姿はなく代わりに私が倒れていた、という。  病院や警察もお手上げ。私は蒼のプロデュースで「踊」と名乗り菫探しの動画配信を始める。  リアルなミステリー要素と蒼のプロデュースで動画は大人気。しかし、蒼が菫の別人のようなすっぴん写真を公開すると大炎上。だが一通の匿名の手紙が手掛かりとなる。  菫の年齢も「元アパレル社員」という肩書きも嘘で恋愛トラブルと嘘と借金を繰り返す壮絶な人生を歩いていた。  菫には娘がいたらしい。取材先で蒼が緊急搬送され、踊はNICUの乳児を地震から守るイメージがフラッシュバック。  菫は生きていて娘、紫(ゆかり)と一緒に暮らしていた。なぜか認知症の踊の祖母も一緒だ。  七年前、三陸沿岸の病院で飛び込み出産をした菫と踊。菫は震災直前に自分の娘を置き去りに病院を去る。子に重い障害があると知った踊も現実が受け入れられず発作的に菫の赤ちゃんを連れ去り、姿を消す。直後、病院を震災が襲う。  後悔し、娘を探していた菫が周到に準備した復讐と入れ替わりの計画だったのだ。重い過去に打ちひしがれる踊。  蒼は菫とグルだった絽のミスリードに気づき、再調査。病院は無くなったが、新たな真実がわかる。踏が母親というのは菫の思い違いで、踊は病棟の看護師だった。赤ちゃんを入れ替えたのは菫で、菫の実の娘も紫の母親も震災で死んでいた。  一年後。立ち直った踊は蒼と紫と家族になり、動画サイトの収入を元に調査会社をやっている。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!