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まずは階段上がってすぐの術語事故対応室に入ると、ザンギ・レカルトとクレア・ハスカッシュという騎士2人がいた。
「騎士にしたの?」
ルークが聞くと、ナイエスが頷いた。
「はい。事故対応室は、異能制御の方も、事故の対応のために強い異能が必要であるだろうこと、人を守るという性質であることを考え、騎士から選定しました」
「そっか、対応が必要だろうとは思ったけど、具体的には考えてなかった。やり始めは、どんな事故が起こるか判らないから、用心して、自分たちも怪我しないようにしてね」
ルークの言葉を受けて、ザンギとクレアは騎士の礼をした。
「は。事前の備えを充分に図りたいと思います」
「頼むね。僕も考えたいけど、あちこち行くとどこも中途半端になっちゃう。当面、異能制御技法調査室に通わせてもらうね」
「は、お任せください」
ルークは頷き、部屋を出た。
「次は術語調査室と術語開発室へどうぞ。ひとつの部屋を棚で区切っているのです」
ナイエスの言葉通り、次の部屋は奥まで見せてもらい、棚で仕切ってあることを確認した。
「こっちも改築してよかったんだよ?今からでもする?」
ルークが言うと、ナイエスも、術語調査室のメリッサ・キルケゴルと術語開発室のネイト・ラングレとカット・フィルタも、揃って首を横に振った。
「今の状態でうまくいっているようなのです」
ナイエスの言葉に、メリッサたちは頷いた。
「開発したものをすぐ教えてもらい、加えられますし、別の視点から調査することができるのです」
メリッサが言うと、カットも頷いて言った。
「開発したと思ったものが既に存在していたりもするので、頻繁にやりとりしています」
「そっか…保安庁に移転するときはどうするの?」
ルークが聞くと、ナイエスが答えた。
「そのときはもっと人が増えている予定なので、連絡係を置き、部屋は個別にしたいと思っております」
「分かった。こっちにも顔を出したいけど、当面できそうにないんだ。よろしく頼むね」
「お任せください」
そうして部屋を出て、次の部屋に入った。
するとなかでは術語教育室のフラッド・オコネルとレモ・スラーリが言い合いをしているようだった。
「どうしたの?」
ルークが聞くと、2人は肩で息をついて、フラッドが答えた。
「いえ、私は術語をとにかく詰め込む方がいいと思っているんですが、彼女はそれじゃだめだと」
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