グランレン修練場創建局

10/44
前へ
/198ページ
次へ
隣の異能制御技法統括室にいたのはキュージイ・ロムとレナント・カーティスで、現在の状況での統括の仕方について悩んでいた。 「難しかったかな。異能制御技法をまとめるんだ。調査結果と、執行内容が同じであるように努めてほしい。今は、個人で異能の制御技法は違うと思うんだ。それを調査室で調べるから、よいもの、悪いものを選り分けて、執行室に回してほしい。そうしていればいずれは、調査結果と執行内容が同じになると考えているんだ」 ルークは息を継いで続けた。 「それから、異能制御技法は、基礎修練と応用修練とに分けたいと思っている。そのようにまとめて、分けてくれる部署が必要なんだ」 レナントが確認した。 「調査室は調査するだけ、執行室は執行するだけということですね。その両者を繋ぎ、統一を図る。その統一の形が、基礎修練と応用修練であると…ということは、我々は、まず調査結果を把握しなければなりませんね。そしてばらばらなものをひとつにまとめ、配布する」 「うん、そう!」 レナントは頷いた。 「独自で動こうとしていました。今後は、調査室と執行室と連携して、(こと)に当たります」 「そうして。統括室は、国民の水準を決める大事な役割なんだ。よろしく頼むね」 「心してかかります」 ルークは頷いて、隣室に向かった。 こちらは、留守にしているという異能制御技法調査室のある部屋で、なかには異能制御技法執行室のダーシュ・デボンとローディ・マクナムだけがいた。 ふたりは集中して何かを書いており、声をかけるとびくりとして顔をあげた。 「何書いてるの?」 紹介の後、聞くと、ローディが答えた。 「はい。現在の異能制御技法執行者の名簿を作っています。現在の修練法は誰にでも教えられますが、今後それだけではなくなるでしょう。そのとき、優先的に技法を修得する人物を定めようとしています」 ダーシュが続けた。 「また、職業別にも名簿を作っています。職業によって、特に習得した方がよい技法が今後出てくるかもしれません。現在は異能に関係なく働いているかもしれませんが、それを改める必要が出てくると考えています」 ローディが言った。 「私たち2人は、執行官ですが、現状、四の宮、四の小宮(こみや)で執行は間に合っています」
/198ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加