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隣の異能制御技法統括室にいたのはキュージイ・ロムとレナント・カーティスで、現在の状況での統括の仕方について悩んでいた。
「難しかったかな。異能制御技法をまとめるんだ。調査結果と、執行内容が同じであるように努めてほしい。今は、個人で異能の制御技法は違うと思うんだ。それを調査室で調べるから、よいもの、悪いものを選り分けて、執行室に回してほしい。そうしていればいずれは、調査結果と執行内容が同じになると考えているんだ」
ルークは息を継いで続けた。
「それから、異能制御技法は、基礎修練と応用修練とに分けたいと思っている。そのようにまとめて、分けてくれる部署が必要なんだ」
レナントが確認した。
「調査室は調査するだけ、執行室は執行するだけということですね。その両者を繋ぎ、統一を図る。その統一の形が、基礎修練と応用修練であると…ということは、我々は、まず調査結果を把握しなければなりませんね。そしてばらばらなものをひとつにまとめ、配布する」
「うん、そう!」
レナントは頷いた。
「独自で動こうとしていました。今後は、調査室と執行室と連携して、事に当たります」
「そうして。統括室は、国民の水準を決める大事な役割なんだ。よろしく頼むね」
「心してかかります」
ルークは頷いて、隣室に向かった。
こちらは、留守にしているという異能制御技法調査室のある部屋で、なかには異能制御技法執行室のダーシュ・デボンとローディ・マクナムだけがいた。
ふたりは集中して何かを書いており、声をかけるとびくりとして顔をあげた。
「何書いてるの?」
紹介の後、聞くと、ローディが答えた。
「はい。現在の異能制御技法執行者の名簿を作っています。現在の修練法は誰にでも教えられますが、今後それだけではなくなるでしょう。そのとき、優先的に技法を修得する人物を定めようとしています」
ダーシュが続けた。
「また、職業別にも名簿を作っています。職業によって、特に習得した方がよい技法が今後出てくるかもしれません。現在は異能に関係なく働いているかもしれませんが、それを改める必要が出てくると考えています」
ローディが言った。
「私たち2人は、執行官ですが、現状、四の宮、四の小宮(こみや)で執行は間に合っています」
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