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四の小宮とは、アルシュファイド王国のレグノリア区以外の各区、フェスジョア区、ボルーネ区、レシェルス区、ユーカリノ区にある、四の宮の小規模版だ。
ローディは続けた。
「今の私たちにできることを考えて、こうしようと決めました。方向を間違っているでしょうか…」
ルークは大きく首を横に振った。
「ううん!名簿は必要だよ!それ、術語教育室の方にも回してくれる?」
ローディが、ほっとしたように、かしこまりましたと言った。
ルークは続けた。
「配布する人は、特定しようと考えてる。そのひとつが、職業なんだ。年齢も考えたんだけど、線引きが難しくて。小さなうちこそ必要だけど、教えられない、覚えてもらえないんじゃ、意味がないからね。それで今は、11歳を基準にしようかと考えているんだ。だから、学習場と連携して、卒業前の子たちの習得を目指したい」
学習場とは、主に11歳までの子供が、言葉や数、地理などを学習する場で、10歳になるとほぼ学習は終わり、次の段階に進む準備をするのが普通だ。
ルークの言葉を聞いて、ダーシュとローディは大きく頷いた。
「君たちの主な役割は、異能制御技法を直接教えるのではなく、教えるための環境作りかな。どう、できそう?」
「やってみせます」
「必ずや」
ローディとダーシュが応えて、ルークは大きく頷いた。
「よろしく頼むよ」
切りがよいと見て、カィンが時計を見て言った。
「ルーク、一旦休みましょう。ナイエス、喫茶店なんて近くにあるかな」
ナイエスは、あるかもしれませんが、と言って続けた。
「1階の食堂で茶も出します」
ルークが言った。
「じゃあそっちに行くよ。どこ?」
「こちらです」
ナイエスに案内されて、ダーシュとローディもルークに誘われ、1階に下りた。
食堂は階段を下りてすぐ右手で、大きな机がひとつある、広く明るい場所だった。
席に着く前に女給がやってきて、注文を聞いていく。
注文と言っても、豆茶か白乳豆茶か葉茶かの三択だった。
ルークは白乳豆茶を選び、ひと口飲んでほっと息をついた。
「ナイエス、明日は執行部のみんなを紹介してね。それから現場を見に行くよ」
「ご案内します」
「うん、よろしく」
「話していると、玄関広間の方で話し声が聞こえた。
ナイエスが、失礼しますと言って席を立ち、やがて2人の女を連れてきた。
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