祭王親衛隊

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祭王親衛隊

「…ここにお前たちを祭王親衛隊と命名し、我が祭王の護衛及び補佐の任務を与える」 「謹んでお受けいたします」 親衛隊の面々の声が揃った。 「ルークのこと、よろしくね」 アークが言って、ルークが、これからよろしく、と続けた。 「ところで、隊長は決めないの」 ルークの問いに、ハウントが代表して答えた。 「は、このまま、緑棠騎士を(ちょう)として従いたいと思います」 「うーん、土の力が強いからこれまではスーが僕に付いてたけど、今はカィンがいるし、本来彩石騎士は双王に付くものだから、必ずしもスーが僕といるわけじゃないよ」 ルークの言葉に、スーが返した。 「俺はこれまで通りで構わないが、カィンがいいか?」 「そうね、これを機に彩石騎士も位置取りを考え直した方がいいかもしれないわ」 アークが言い、シィンが首を傾けた。 「カィンはルークに付けて、スーはこれまで通りどちらにも対応するようにしてはどうだ」 アルが口を挟んだ。 「正直、カィンがいなくなるの痛いんだけど!」 シィンが頷いた。 「そうだな。悪いが、カィンにはアークの仕事も手伝ってもらいたい。問題はルークの手伝いをしていてそんな暇があるかだが…」 「やってみます。できるだけのことを。それに、ルークの仕事の補佐には親衛隊も付くから、きっとやれます」 カィンが言い、ファイナが口を開いた。 「親衛隊はやはり話し合って隊長を決めてもらった方がいい」 「それならばハウントです」 そのように声が上がり、ハウント以外が頷いている。 「それでいい?」 アークがハウントに聞き、ハウントは頭を下げた。 「は、務める用意はあります」 アークは頷いて立ち上がった。 「ハウント・ハント。お前を祭王親衛隊隊長に任命する。我が祭王を助け、お前自身を含む隊員たちの命を護れ」 「は、謹んで役をお受けし、ご命令、必ずや守り通してみせます」 そう言って、上げたハウントの顔には、決意と覚悟が窺えた。 「またひとつ、整ったな」 ユラ-カグナが言った。 朝の陽が一同に降り注ぎ、祭王親衛隊の面々は気持ちが新たになるのを感じた。
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