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デュッカはイルマが渡したメグス袋を自分の膝の上に置き、その上にミナの頭を置いた。
「やっぱり無理があったの?」
正面の長椅子に座り、心配そうにアークが言う。
ミナは横になりながら、目を閉じながらも、ひらひらと片手を振った。
「無理ってほどではありませんよ。ただちょっと、探った情報量が多くて、疲れてしまいました」
「今日はもう休んだ方がいい?」
「大丈夫です。少し休めば…時間半ばぐらい」
ミナは深呼吸を繰り返す。
「異能を使ったわけじゃないんで。本当に疲れているとしか言えないんですけど。大丈夫」
「もう話させるな」
デュッカが言って、アークは一旦口をつぐんだ。
「…分かった。充分休んで。仕事するわ。ルーク、ちょっと待っててあげて」
「もちろん」
ルークはそう言って、アークの座っていた長椅子に腰を下ろした。
カィンも1人掛けの椅子に座り、ミナを心配そうに見つめる。
そのうちミナの呼吸は自然になり、ぱちりと目を開いた。
起き上がり、デュッカに、すみません、ありがとうございます、と言って、ルークを見た。
「待たせてすみません。それじゃ、行きましょうか」
「ほんとに大丈夫?」
「はい!充分休みました。アーク、場所をありがとうございました。行ってきます」
そう言いながら立ち上がり、ルークたちも立ち上がった。
「無理はしないでね」
「はい!」
元気に返事をする。
「ミナ、デュッカ、わがまま聞いてくれてありがとう」
「とんでもない」
ミナは、にっこり笑ってアークを見た。
「お手伝いできてよかった」
そうして部屋を出ると、ミナは深い息を吐いた。
「ミナ?本当に…」
ルークが言いかけると、ミナは笑顔を向けた。
「大丈夫です。創建局までは馬車で?」
ハウントが答えた。
「用意しています」
「ありがと!あ、私のためじゃないか」
「いいえ、ルークとあなたのためです、ミナ」
ミナは恥ずかしそうに笑った。
「ありがと!」
それからルークとミナ、カィン、イルマ、そしてなぜかデュッカが馬車に乗った。
「えっ、なに、一緒に来る気?」
ルークが言うと、デュッカは、悪いか、と言った。
「そりゃ、仕事があるんだから」
ミナが少し笑って言った。
「昼ぐらいまで、休んだ方がいいです」
「風の宮で休めば!?」
「休みにならん」
そんな話をしている間に、馬車は動き出す。
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