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チュウリ川の上の格子道路を行き、創建局まではすぐだ。
第1棟の馬車回しに馬車を入れて、外に出る。
「なんだか明るい感じですね!かわいらしいというか。そこまではないか」
ミナが建物を見上げてそう言った。
「かわいらしい?」
ルークが聞くと、ミナは少し首を傾けた。
「親しみやすい!という感じかな。重厚なの想像しちゃってました」
「あっ、僕も!」
そんな風に話しながらなかに入ると、玄関広間に人が集まっていた。
「あれっ、ごめん、ここで待ってたの!?」
「話をしながらです。お気になさらず。それより、改めまして、こちらが私の補佐、ウェルフラム・ヒョルテ…ウェルとマナセア・ボア・ビスタです」
そうしてひと通り名を並べると、ひとまず現場に行きましょう、ということになった。
建設地準備担当官と、建材準備担当官、水上設備担当官と、建設官が来てくれることになり、ミナはウェルに連れられて第2棟に向かった。
もちろんデュッカも一緒だ。
馬車に乗り込んで、どうなの、あれ!と言うと、カィンが、見張っているつもりかもしれません、と言った。
「ああは言ったけど、元気そうにしてたけど、だからこそ何か感じ取ったのかも。今日のところは、任せた方がいいです」
ルークは納得しかねたが、今日だけね!と譲歩した。
そんなことを話していると、修練場の建設現場へはすぐに着いた。
そこはレゾン地区を抜けた川岸にあり、作業が始まっていた。
ルークは興奮した。
自分の思いが、実現しつつある…!
「現在は土台を置くための地盤作りをしています。それから、ご指示のあった水草の移動は上流の方にしています。それほど多いものではなく、ルーク様には、不足をお感じになるかもしれません」
建設地準備担当官のホセリオ・シリオが言った。
ルークは少し首を傾ける。
「んー、でも、それがそのままの姿だったのなら、無理をして増やす必要はないよ。魚とかは戻りそうかな?」
「判りませんが、元の環境に戻すよう、努めます」
「うん、そっか。やってみるしかないよね。じゃあ、次は土の修練場を見せて!」
すると馬車は北へ向かい、ミナリ通りの端で川を渡り、大きなサグレの森の脇を抜けて、やがて建設中の道路に出た。
「降ります。足元にお気を付けください」
もうひとりの建設地準備担当官マドカ・リングデルがそう言って先に馬車を降りた。
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