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「いただいております。設置と言っても、それも船ですので、移動が可能です。係留する場所も交渉済みで、あとはルーク様のお考え次第で、それを造るか、ほかの船を造るか、お決めになるだけです」
「ほかの船?」
「はい。まず、大きな船には、一度に10人指導できるだけの場所を用意しております。小さな船には、1人から4人までの指導が可能な場所を用意しております」
「4人が限界?」
「いいえ、同じ形でもっと船を大きくすれば、6人、8人と指導できますが、そこまで増やすならば、いっそ10人の船がよいと考えております」
「10人以上は?」
「船を分けた方がよいという結論に達しました」
「分かった。あとでその設計図、見せてもらえる?」
「はい。そのように準備してございます」
「ありがと!」
「とんでもないことでございます」
カィンが考えるように口を開いた。
「その船は、グランレン修練場まで入れないのか?」
クラウノがカィンに向けて少し頭を下げながら言った。
「確かめましたところ、そこまで大きな船はシサ川を通れないのです」
「そうすると、火の修練場まで出る小船と、火の修練場となる大型船の2艘で運用する考えなのか?」
「いいえ、私どもが考える形としては…」
そのとき馬車が停まって、話はまたあとで、ということになった。
メッカに案内されて船に乗り込み、火の修練場として指定された湖の一画に向かう。
そこでは、火の球が打ち上げられ、こちらに気付いた船員が板を渡し、固定した。
その上を渡って、乗船すると、異能制御技法調査室のストラウト・ヒルデとハノラ・メイベルが自己紹介し、カザフィス王国の伝火兵、マル・ファストとギルバーツ・カニッソムを紹介した。
ルークはふたりの手を握って感謝した。
「協力ありがとう!いつまでこっちに?」
ギルバーツが答えた。
「はい。我々は修練場の立ち上げまでこちらに滞在することになっております。船の建造が、大きなものでおよそ半年となるそうなので、そちらが仕上がるのを待ちたいと思います」
「そっか、できるだけ早く決めるね」
マルが頬を紅潮させて言った。
「いいえ!こちらで得るものは大きく…半年では足りないほどです!」
ルークは首を傾けた。
「得るもの?」
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