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「はい!騎士たちの異能の使い方は大変勉強になりますし、体術、特に捕縛の術は見事です!犯罪が少ないにもかかわらず、どうやってあの技術を身に付け、維持しているのか…とにかく、現在ある修練なども、持ち帰って広める許可をいただき、感謝しております!」
マルの勢いに目を丸くしていたルークだが、やがてにっこり笑った。
「そう。願い通りだ。こちらこそありがとう」
「とんでもないことです!祭王陛下のなさろうとしていること、政王陛下のお計らい、けして無駄にはいたしません!」
ルークの、アルシュファイド王国の騎士や兵士との交流への足掛かり。
アークの、技術交換に対する配慮。
それらが理解され、価値を認めてもらえていることに、ルークは喜びを感じた。
「とんでもないことなんかじゃないよ。ほんとうに、感謝してる」
そう静かに言って、ルークは顔を上げた。
「それで!今は何やってたの?」
ギルバーツが答えた。
「は、今はどの程度の範囲まで火球を飛ばしても効果を確認できるか、結界の範囲を探っております」
「結界はどれで作ってるの?」
「は、取り敢えず火の結界で、火が結界に触れると消えるようにしております」
「干渉結界か。結界の種類についてはまだ考えてないから、引き続き頼むよ。それじゃあ、よろしくね」
「は、必ずや結果をご覧に入れます」
ルークは頷いて、振り返った。
「クラウノ、メッカ、それで、この船はどの辺りを工夫してるの?」
メッカが答えた。
「はい。火を真上に上げるのでは危険ですし、かと言って真横にも放てないので、斜め上に打ち上げることを想定し、斜めに体を倒した状態で修練する形にしたいと思っております。それで取り付けたのが、こちらです」
メッカの示した所には、白い板が斜めに備えつけてあった。
「ここに寝るっていうか、体を預けるんだね。うん。無理な体勢では修練にならないし、いいと思う。これをどうするの?」
「左右に5台ずつ設置し、その船を3艘縦に並べたいと考えております」
「じゃあ、一度に30人までだね」
「そうなります。まず、事前に調べました結果により、この場を使用できる時間帯に、朝、昼、夕、晩と船を出します。正確には、9時から11時、13時から15時、16時から18時、19時から21時です」
「そんな遅くまで?」
「仕事帰りですと、夕食を摂り、19時に出発、21時に港に戻る、といった流れです」
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