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王国を形作る者
アルシュファイド王国は平和な国だ。
世界にただひとつの大陸のほぼ中央に位置するこの国は、ふたつの峻厳な連峰により他国からの侵略から守られてきた。
国主は2人の王。
当代の双王の1人は政王アークシエラ・ローグ・レグナ…アーク。
もう1人は祭王ルシェルト・クィン・レグナ…ルーク。
2人とともに立ち、背後に控えるのは、白剱騎士ルゥシィン・ヴィーレンツァリオ…シィン。
白剱騎士は有事の際に双王の代行を務める彩石(さいしゃく)騎士の1人として在る。
現在の彩石騎士はほかに4人。
赤璋騎士アルペジオ・ルーペン…アル。
緑鉉騎士ファイナ・ウォリス・ザカィア・リル・ウェズラ。
緑棠騎士スー・ローゼルスタイン。
碧巌騎士カィン・ロルト・クル・セスティオ。
このほか、双王の補佐としての役割を果たす者は5人。
建国時にその能力を最大限使って発展に寄与した彩石判定師。
現在、その席はミナ・ハイデルが埋めている。
四の宮公は有事の際に祭王に代わり結界を展開する。
現在の四の宮公は4人。
土の宮公ロアセッラ・バハラスティーユ・クル・セスティオ…ロア。
風の宮公デュッセネ・イエヤ…デュッカ。
水の宮公カリ・エネ・ユヅリ。
火の宮公カヌン・ファラ。
先頃、四の宮公を補佐する役職に、側宮(そばみや)が設置された。
水の宮公の代行を行う、水の側宮サリ・ハラ・ユヅリが最初の1人だ。
そして双王の手足となり、政王の国政を円滑にし、祭王の国民を守る役目のために便宜を図るのが、宰相ユラ-カグナ・ローウェン以下各省庁長官と、その下で働く者たちだ。
アークは政王となって1年が過ぎた。
この機会に感謝の気持ちを伝えたい。
それは一周年を迎えた翌日である今日を措いてほかにはないと思えた。
「今日中にできることが何かないかしら?」
「昼食代を持つとかじゃ、ぱっとしないし、お金じゃね…」
祭王親衛隊の任命式を終え、歩きながらアークとルークが話すのに、アルが口を挟んだ。
「そうか?俺は豪華な食事なら嬉しい!」
「豪華か…料理師に今から頼めるかしら」
「まず食材だな。そして調理の時間。もう仕込みは始まっているだろう」
「そうね。彩玉を作るというのはどうかしら」
彩玉とは、異能を発して作る玉のことだ。
異能とは、この大陸に住む人すべてが持つ、土、風、水、火の能力のことだ。
その保持する配分は人によって違うため、異能と呼ばれている。
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