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アークたちは、アルシュファイド王国から、灯石類という光るサイセキをボルファルカルトル国に、ボルファルカルトル国から、植えるための木をカザフィス王国に、カザフィス王国から、最も純粋な 風の力を持つ緑風石というサイセキをアルシュファイド王国に輸出する、3国交易を目指している。
サイセキとは、彩石のひとつだ。
彩石とは、人の異能を助ける働きを持つ石で、その働きは3種類ある。
ひとつが、サイセキ。
力そのものを内包する。
ひとつは、サイジャク。
人の異能を減少させる。
もうひとつは、サイゴク。
人の異能を増大させる。
彩石は、場所を問わず出現する。
だが、アルシュファイド王国には彩石の湧き出る泉があり、カザフィス王国には現在、サイセキの溜まり場が複数確認されている。
この交易のなかで最も動かし難いのが、ボルファルカルトル国の木だ。
ボルファルカルトル国は、交易の門を狭めることで国を保ってきた。
そのボルファルカルトル国を動かすのが、この交易の最初の段階だ。
ここから、3国交易に漕ぎ着けるには、どんな障害が待ち受けているのか。
判らなかったが、とにかく最初の一歩は踏み出せたのだ。
今は嬉しい気持ちが先に立つ。
扉が叩かれて、箱が届いた。
「まず北棟で働く者たちに配ってちょうだい。南棟の者たちは、移転する者たちがいるので、あとにして。それから黒檀塔に行って見習いも含めて配ること。四の宮と、創建局にも持って行って。ああ、兵士たちにも、もっと言ったら派遣している騎士たちや、四の小宮や、各地区の騎士たちにも配りたいのに。それに…ああ、もう、国中の人に配りたい」
「国中か…まあ、一周年だからいいだろう。明日までかかってもいいなら、デュッカがいる。届けさせればいい」
「明日か…うん、何もしないよりはいいわね!ルークが戻ったら、頼むわ!」
このように、週の始めの暁(ぎょう)の日は始まった。
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