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手前には階段があり、見上げる位置にある扉は黄みがかった明るい木で、全体は白い板を横に張った造りだった。
「もっと重厚かと思ってた」
ルークの第一声に、ナイエスはどきりとする。
元の姿をあまり変えずに、外装は修復のみで、内装に力を入れたのだったが、公共の施設だ。
見た目も大切には違いない。
「なんだか明るい感じで、いいね!」
ルークのその言葉に救われたと思ったが、ナイエスはふと過った思いを口にせずにはいられなくなった。
「もっと重厚な外観をお求めでしたか?」
ルークはナイエスの心配そうな顔を見て、笑って言った。
「ううん!これがいいよ!さあ、早くなかを見せて!」
ナイエスは頷いて、階段を上がると鍵を開けた。
「どうぞ、お入りください」
言われてルークは、両開きの扉を引いて開けた。
正面には階段があり、上部からは明るい光が降りている。
内装は、全体的に白っぽい印象で、柱などは黒に近い色、明るくて落ち着いた雰囲気の邸だった。
「うわあ」
ルークが声をあげる。
左右を見て、まずは階段を上がることに決めたらしい。
真っ直ぐ進みながら、見て回っていいよね!と弾んだ声で言った。
「もちろんです。2階から行かれますか?」
「うん!」
ルークは答えると、階段を駆け上がった。
ナイエスたちもあとを追い、あとから来た残りの親衛隊が玄関広間に集まる。
ルークは、2階の部屋をすべて見て回ったあと、階段を下りて1階の部屋を覗いていった。
「そちらは応接室です…そちらは食堂。奥は調理場です…」
ナイエスがあとを追いながら説明する。
すべての部屋を見て回ったルークは、祭王居室に入った。
この部屋は、親衛隊居室の奥にあり、直接廊下に出ることはできない。
大きな窓がひとつあり、壁はほとんど濃い色の書棚となっていた。
奥には大きな机がひとつあり、ゆったりした椅子にルークは座った。
正面には濃い色の扉と、白い壁。
「ナイエスが選んでくれたの?」
ナイエスは緊張した。
「はい。私が選びました」
内装については、ルークにあらかじめ伺いを立てたのだが、自由に決めるようにと言われたのだ。
「なんだか、アークの部屋に似てる。こういう重厚さも必要なのかなあ…」
「必要…とは…?」
不安そうなナイエスに、にこりと笑って見せて、ルークは言った。
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