出会い

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目覚めると見たことのない場所にいた。 強い風が体を抜けていく。 「はーくしょん」 ぶらっと体を震わせて、下を覗く。 カラフルなネオンが賑やかに灯る。 「一体此処は何処なんだ」 目を凝らして俺の置かれた状況を確認する。 どうやら階段の踊り場の柵にもたれていた。 体の至る所に痛みが走る。 目覚める前俺が居た場所は・・・。 大学の講義に参加していた。 前園先生の「時空の広場」と題した宇宙科学的なことを必死に書き記していた。 僕がペンを止めて先生の話に聞き入っていた、あの話はなんだったか。 思考をまとめるためブツブツ呟いていると、 カツンと足音がした。 ハッと頭を上げると、黒いコートに身を包み頭からフードをすっぽり被っていた。 「やあ、やっぱり来たんだね」 聞いたことのある声?低くて冷たい声、男? 暗くて顔がよくわからないが、会ったことがあると、 直感が示す。 「誰だ、お前。ってか此処は何処なんだ。お前俺を知ってるのか?俺を元居た場所へ返せ、お前の知ってる事を洗いざらい話せ。お前は誰で、俺は、俺は誰なんだ?」 すっと人差し指が伸びて俺の口を塞いだ。 「静かに。大丈夫。僕は嬉しいんだよ、君がこの世界に来てくれて。これで僕は自由になれる」 ふふふ、ははははと笑い出す。 胸元から時計を取り出しかちゃりと開ける。 「おおっと、こんなに経つか。すまないね、僕は君とゆっくり話する時間がないんだ。もう、行かしてもらうよ」 じゃあ、と俺の肩をポンと叩く。 そして胸元に指を当て 「ニカラビ・マキト」 と、言いニヤリと笑った。 「おいっ、おい!ちょと待てよ。お前は誰だ! まだ話は終わってないぞ!おい、何処いくんだ!待てよ、待ってくれ。何なんだよ、おいっ、おい!」 男はあばよと、2つの指を額に当て振る。 その時、フードがズレて少しだけ男の顔が現れた。 会ったことがある。 当たり前だ。 去った男の顔は俺そっくりなのだから。
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