第2章 それは恋。きっと恋。

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自分と同じ制服を着た彼女が、三つ年上の元カレとキスをしていた。 そこは彼の家の彼の部屋。 少し男臭い狭い空間に、二人きり。 ドアを閉めた瞬間から、彼の情熱に火が灯り、彼女の身体に熱が宿った。 ぶつかる視線に意趣を感じた二人は無言のまま隣り合い、顔を近付けていく。 目を閉じた直後に、まつ毛と吐息が顔に触れ、次の瞬間にはもう唇が重なっていた。 彼の手が彼女の肩を掴む。 彼女の手が彼の首を掴む。 互いに引き寄せ合って、初めてのキスが深くなる。 彼は彼女が初めてではなかったのだと、彼女はこの時気付いた。 見知らぬ誰かに嫉妬しながらも、 徐々に傾く自分たちの身体はそのままベッドに転がり、埋もれていく。 覆いかぶさってきた彼が顔を離して、情熱的な視線を注いだ。 その目には普段の優しい彼とは違う、ギラギラとした欲望の炎が揺れていた。 彼の瞳に包み込まれた彼女は、覚悟を決めて強張る肩の力を抜いていく。 我が身も心も彼に差し出すことに、躊躇いはなかった。 恥じらいながらも彼女は大胆に・・・ 「えりん!えりん!!」 洗面所で歯ブラシを咥えて妄想していた私に、 ママが腕を引っ張って呼び覚ました。
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