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シャワーから出て髪を拭いている時。
チャイムが鳴ってドアホンを確認すると、ちずが立っていた。
今日はもう帰って欲しいという本音を言うべきかどうか悩んで、ちずの恋路を応援すると約束したことを思い出すと、罪悪感が沸いてきた。燿馬にどこまで届くのかはわからないけど、しない後悔よりいろいろ手を尽くしてからの後悔を選ぶと言っていた言葉に、私は胸を打たれてしまって、協力するって約束したんだから。
ちずの進路の決断は周囲を驚かせたのは間違いないし。
そんなに恋愛感情ってパワフルに人を突き動かすものなの?
どんな顔をしようか迷いながら、顔の体操をしてドアの鍵をおろした。
ちずは私に抱き着いてきて、「ごめんなさい」と小さな声で謝ってくれた。
「私、自分の考えとか言いたいことばっかり言って、恵鈴の話一割ぐらいしか聞いてなかったなって気付いたの・・・。嫌な思いさせてごめんね」
しおらしいことを言うちずは、小柄な女の子みたいでなんだか可愛らしい気がした。
「・・・恵鈴にはまだ早かったのかな。TL小説」
「うん、そうだね」
「あの本、私の初体験と被る内容だったから、まるで自分の体験記みたいで特別な思い入れがあったんだよね。恵鈴にもそれをわかってほしくて・・・。だけど、恵鈴はまだ恋もしたことがないのに・・・」
あれ?
なんか、ちゃんとわかってるんだな。私のこと。
「でも、私が居た中学ではあれぐらい普通に皆読んでたし、性に興味あるのはもうしょうがないっていうか、普通って言うか・・・」
「普通なんだぁ」と、私は渇いた声で口を挟んだ。
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